ベリーズ高校女子バレー部

ベリーズ女子バレーボール部。

私立ベリーズ高校
この高校のバレーボール部は強かった。
しかし、今は3年生の部員が一人いるだけである。
石村舞波だ。
舞波はあせっていた。
もう3月だ。明日で卒業だっていうのに、
わたしが卒業したら名門だったこの高校のバレー部は
なくなってしまう。

すでに休部扱いになっているのだが、どうしてもあきらめきれないのだ。
でも、仲のいい後輩なんていないし、どうすればいいのだろう。

悩んでいると、すぐに卒業式の日の朝になってしまった。

卒業式も無事に終わり、記念撮影をしていた。
そのとき、2年生二人組みが通りかかった。

桃子「キャプテ〜ンはやく帰ろうよ。」
キャプ「ちょっと待ってよ、まだ先輩と写真とってないし。」

なぜかキャプテンと呼ばれている後輩がいた。
なにか部活動をしていて
もう次のキャプテン候補だという意味だろうか?

桃子「あ、舞波先輩だ。1人でバレー部だったんだよ。なんかかっこよくない?
キャプ「そうだね。」
私ってある意味、けっこう有名だったんだ。
有名ついでに話しかけよう。

舞波「ねぇあなたキャプテンて呼ばれてるのよね。なんで?」
キャプ「さあ、わかりません。」
桃子「なんか、キャプテンぽくないですか?」
舞波「うん、すごくっぽいよ。よかったら、本当のキャプテンになってみない?」
キャプ「バレー部のキャプテンになってみない?ってことですよね。」

桃子「いいじゃん。かっっちょええじゃんなってみたら?」
キャプ「じゃあ、やります。」
舞波「本当。やった。じゃあバレー部のキャプテン頼んだよ。」
よかった、これで安心して卒業できる。

4月
キャプ「バレー部のキャプテンになりました。清水です。今は、部員が2人しかいませんけど、昔は強かった…。らしいです。一緒にバレーボールをしませんか?」

キャプテンが新入生に向けての部活動紹介の練習をしている。
桃子「ねえキャプテン。2人って誰?私も入ってる?」
キャプ「もちろん」
桃子「やっぱり。私、友達だから。バレー部はいるよ。」
キャプ「大丈夫、もうはいってるから。」

桃子「じゃあ本番いってみよう。」
桃子はそんなに驚かないでさらっと言った。
キャプテンが1年生にむかって一生懸命はなしている。
でも、いまいち興味がないようだ。
キャプ「なんかしらけてたけど大丈夫かな?」
桃子「とりあえず、練習。」

まず、ストレッチをして、ランニング。
パスの練習をする。
桃子「どうやってやるの?」
キャプ「さあ?」
実は2人とも、バレーについてよくわからない。

そのとき、誰かが入ってきた。
?「ああ、もう練習してるのか?」
桃子、キャプ「だれ?」
覆面をした男がいきなり体育館にはいってきた。
K太郎「私は、一応、バレー部顧問のK太郎だ。」
そういえば聞いたことがある。
かつてベリーズ高校女子バレー部の黄金期をつくった先生だ。

キャプ「先生。とりあえず、パスを教えてもらえませんか?」
K太郎「よ〜し。わかった。手で、三角形をつくるだろ。そのまま、ボールを包み込むようにして、おでこのところでボールを押す。これがオーバーハンドだ。」

オーバーハンドの練習をする。すると、もう一人誰かはいってきた。
制服を着ている、女の子だ。
りさこ「あの〜バレー部ですよね。」
キャプ「そうですよ。」
りさこ「入部希望ですけど。いいですか?」
桃子「いいよ。やった。3人目」
キャプ「1年生だよね。バレーやったことあるの?私は初めてだけど。」
りさこ「中学のときにやってました。」

桃子「経験者じゃん。」
キャプ「よし、じゃあ、りさこにまけないように練習再開。」

2人はK太郎先生に教えてもらってすこしずつうまくなった。

それから、1週間後の昼休み。
桃子「ちょっとあの人すごい背が高いよ。」
そこには、熊井友理奈がいた。3年生だ。
キャプ「え、あ、本当だ。たしか、名前が、熊井ちゃん?だったっけ?」
桃子「そうだよ。覚えてる。あの人もバレー部ですごかったって噂だよ。」
キャプ「そうなの?早速勧誘しなくちゃ。」
2人は熊井ちゃんに近づいた。

キャプ「あの〜熊井ちゃんさんですよね?」
熊井「熊井です。みんな熊井ちゃんっていうけど、ちゃんまでが名前じゃないから!」
いきなり印象を悪くした。
キャプ「変なこといってすいません。本題にはいりますけど、バレー部に入ってくれませんか?」
熊井「もう、バレーはやめたんだよ。もうやらない、何があっても。」
桃子「え、そんなこといわないで。」
熊井「じゃあね、忙しいから。」
キャプ「あ、いっちゃった。」
桃子「何があったんだろう。」
沈んでいると、須藤まあさが話しかけてきた。
須藤「ねえ、あなたたち、熊井ちゃんにはバレーのはなしはダメだよ。」
キャプ「なにがあったの?」
須藤「それは、知らないけど、なにか重要な事件があったはず。代わりに、私がはいってあげる。わたしも、中学のときバレー部だったんだ。」
桃子「やった。4人目だね。」

その日から、4人の練習になった。
須藤「キャプテンなかなかトスうまいね。セッターやりなよ。」
キャプ「セッター?」
桃子「あ、トス上げる人だよね。全日本でいうと。竹下?」
なにげにわかっている桃子。
須藤「わたし、中学のときはセッターやってたから教えてあげる。」
キャプ「え、そうなの?じゃあ、高校でも。セッターやりなよ?」
須藤「自分でいうのもなんだけど、私、アタックもそこそこうてるから、キャプはアタックうてないじゃん。」
キャプ「くやしいけど、納得。」
セッターはキャプテンになった。


須藤「あと、すっごい切れのあるアタック打つ人しってるよ。」
桃子「だれ、熊井ちゃん?」
須藤「熊井ちゃんのアタックもやばいけど違うよ。」
キャプ「じゃあ、だれ?」
須藤「夏焼雅!」
りさこ「あ、そのひと私の先輩です。この高校に入ってたんですか?」
りさこが久しぶりに口を開いた。
須藤「そうだよ。今は吹奏楽部にはいってるけどね。」
キャプ「なんでバレー部にはいらなかったんだろう?」
須藤「たぶん、部員1人だったから。でも、今の状態をみれば、入ってくれるかもよ。」
そうなのか。明日、勧誘に行ってみよう。

次の日。
音楽室についた。
バレー部4人全員そろっている。
雅「ちょっと、あなたたちバレー部でしょう?」
雅がいきなり出てきた。
キャプ「そうだよ。知ってるなら話は早いよ。バレー部にはいって。」
雅「いやだよ。私にはフルートっていう大切な…」
雅が話している途中に、りさこがさえぎるように口を開く。
りさこ「夏焼先輩。バレー部にはいってください。お願いします。また、あの切れのあるアタックがみたいんです。」
雅「あ、りさこじゃん。バレー部にはいったんだ。」
りさこ「そうですよ。あのあと私たちは県大会で優勝しました。」
雅「すごいじゃん」
須藤「雅、りさこもああ言ってるし。入ってよ。」
雅「あ、須藤じゃん。あんたのトス打てるんだったら考えてもいいけど?」
須藤「いや、セッターはキャプテンなんだ。」
須藤が少し弱弱しくはなす。
雅「あ、そうなの?残念だな〜。」
キャプ「私のトスも打ってください。」
雅「じゃあ、1週間後にバスケのゴールにトスで3ポイントシュートうってみてよ。」
キャプ「わかりました、1週間後ですね。」

その日からキャプの特訓が始まった。
キャプ「よ〜しいくぞ。」
10本ほどトスしてみたが入りそうにない。おしいんだけど、
須藤「ひざのバネをつかってすばやくボールの下にもぐりこむの!」

うまくいかないまま、約束の日が来た。
雅「しっかり練習してきた?じゃあはじめてください。」
1本目、ボードに直撃した。
雅「ダメじゃないの。」
2本目。今度は、リングに直撃した。
3本目。ネットにカスって手前に落ちた。
4本目二階に飛んでいき、張ってあるネットにひっかかってしまった。
雅「もういい。」
雅は怒って帰ってしまった。
キャプ「あぁ、怒ってかえっちゃった。どうしよう?」
須藤「ヤバイね。あれは。」
桃子「ぷんぷんだったよ〜。」
そのときりさこが口を開いた。
りさこ「たぶん、大丈夫だと思いますよ。夏焼先輩は、学校1のツンデレですから。」

すこして誰かが体育館にはいってきた。
夏焼雅だ。
なぜか、たいそう服に着替えている。
雅「須藤、あんたちゃんとキャプテンにトス教えたの?」
須藤「おしえたよ。」
雅「しょうがないから、ヘタクソにはわたしが教えてあげるしかないようね。」
キャプ「え、じゃあ?」
雅「バレー部に入ってあげる。かわいい後輩のりさこもいるし。」
りさこ「ね、大丈夫だったでしょう?」

こうして5人目が入部した。


須藤「セッターとライトアタッカーそれと、レフトアタッカーもいる。あとは、センターが一人もいない。」
雅「あれ、センターはもちろん熊井ちゃんでしょ。」
キャプ「それが…何があってもバレーはやらないっていいだして。」
桃子「こわかったんだ。」

雅「じゃあ、同じクラスに徳永っていう人がいるんだけど、私より背が高いし。それに、ジャンプ力はあるよ、たしか…陸上部。」
キャプ「あぁ千奈美なら友達だよそうだった。千奈美がいたんだ。」

早速次の日、千奈美に話をすることにした。
キャプ「千奈美、バレーやろうよ。」
千奈美「え、私は陸上。」
キャプ「そんなこといわないでさ。ほら、体育館だから、日焼けしないしさ。」
千奈美「キャプテンそんなこと普通いうかな〜!!!」
須藤「マジな話さ、あんたのジャンプ力が欲しいんだよね。」
千奈美「そんな風に誘ってくれたら、入るよ。一人で飛ぶのもつらくなってたんだ。」

あっさり6人目

キャプ「あとは、熊井ちゃんだけか…」
須藤「バレーが嫌いになった原因さえわかったら…」
桃子「なんだろうね。」
雅「誰か知ってるんじゃないの?」
りさこ「千奈美さん、知ってませんか?」
千奈美「う〜ん。やっぱり、孤独だったんじゃないかな?一人で飛ぶのってしんどいじゃん。」
そんなとき、舞波が現れた。
舞波「すご〜〜〜〜い。1、2、3、4、5、6、6人もいる。みんなバレー部だよね。試合ができるよ〜〜〜〜。」
キャプ「あ、舞波先輩。いきなりハイテンションですね。」
りさこ「誰ですか?」
桃子「バレー部OGだよ。」
りさこ「あ、そうなんだ。」
りさこは平気で失礼なことを言うが、雅は激しい人見知りのため、下をむいて黙っていた。
須藤「あの〜1人でバレー部だった石村先輩ですよね。熊井友理奈についてしりませんか?」
舞波「あぁ、熊井ちゃんね、もちろん知ってるよ。即戦力になると思って、一番初めに声をかけたんだ。でも、即答で断られたよ。」
桃子「やっぱり。」
舞波「だけど、あきらめないで調べたんだ彼女がバレー嫌いになった原因を」
キャプ「なんだったんです?」
舞波「あれは、県大会の決勝だったらしいんだけど、もともと、熊井ちゃんのワンマンチームだったんらしいんだ。1セット目とって、2セット目が23−23で競ってて。熊井ちゃんがブロックしたんだけど、運悪く、ブロックしたボールが足元に落ちちゃって。」
須藤「怪我しちゃったんですね。」
舞波「そう。それで、熊井ちゃんは立てなくなってしまって選手交代。そのあとチームは逆転負け、熊井ちゃんを頼っていたチームは自分たちのふがいなさを反省するどころか、熊井ちゃんをすごい勢いでせめたんだ。」
キャプ「そうか。嫌いになるわけだ。」
舞波「まあそういうことがあたんだけど。みんなはあきらめないで勧誘してみて。じゃあね」

全員「はい。ありがとうございました。」

キャプ「そんなことがあったんだ。」
雅「そんなの関係ないよ。」
雅がいきなり飛び出した。
熊井のところに行くみたいだ。みんなついていった。
熊井「また、あなたたち、なんなの?」
雅「一緒にバレーしようよ。過去に何があったかはしってる。
  わたしたちはちがうよ。私たちベリーズ女子バレーボール部は7人で輝いていくよ。」
熊井「7人?私も入ってる?わかったよ。バレー部にはいるよ。ここにはこんなに私を必要としている人がいるんだもんね。みんななら信頼できそう。」

こうして、7人目熊井ちゃんが入部した。
ポジションは、セッターがキャプテン。
レフトが雅とりさこ
センターは熊井ちゃん千奈美
ライトがまあさ
桃子はリベロだ。

キャプテン「よ〜しじゃあ改めて円陣くむよ!ベリーズ高校いくべ〜!」

おわり